1棟にあるセンターの研究室によく遊びに行くようになってからぐっさんとご飯を食べに行くようになった。
S井さんやガロンがダイエットに励んでいる隣で一心不乱にサンドバッグに金色に輝く四肢を打ち込んでいる。
ぐっさんも痩せたいのかと思っていると、よくわからない時間にどこで手に入れたかよくわからない弁当をこっそり食べている。
弁当を食べてからあまり時間が経っていなくても石川のソウルフードであるチャンカレやもはや国民食の王将への誘いは断らない。
ぐっさんは体型を維持したいのが痩せたいのか太りたいのかよくわからない。
そこで一つ考えがある。
ぐっさんはみんなの負の感情を物を食べることで吸収しているのではないかということだ。
ぐっさんは天使であることは周知である。
ぐっさんの住む山の訓練場には軽い気持ちではるばる都会からやってきたり、元の組織の昇進試験に落ちた軟弱物が集まりやすい。
そういった人間ほど山の洗礼を受けやすく、引きこもったり、逃亡したり、最悪鳥になってしまう。
そういった軟弱物の負の感情を物を食べることで吸収し、多くの軟弱物を助けているのではないかということだ。
普通に天使の力を行使して救いの手を差し伸べてもいいが、ぐっさんは恥ずかしがりやなので、普段の生活行動に合わせて負の感情を吸収しているんだろう。
そして、吸収した負の感情は聖なるサンドバッグに拳とかかとを使って打ち込むことで昇華しているのではないか。
食べること、聖なるサンドバッグに打ち込むこと、この二つがセットで人間界で天使の力を行使しても誰にも怪しまれず、気づかれずに済むのだろう。
天使ぐっさんが山に住みはじめてから(途中2年の修行期間で下山しているが)もう7年である。
山に住み始めた頃の天使ぐっさんは痩せていたという。
今のぐっさんは当時に比べて大きくなっているらしい。
私は聖なるサンドバッグに打ち込む動作がとても繊細で高度な技術を要し、負の感情を発散しきれていないのではないかと思う。
そのため、負の感情を貯めに貯めまくったぐっさんが大きくなってしまった。
そんなぐっさんの功績に気がついた人々がぐっさんに感謝するために去年から行うようになったのが訓練場の名を冠したお祭りである。
お祭りを行うことで兵士の負の感情を減らしてしまおうという考えだ。
今、事情があってぐっさんには羽が生えておらず、負の感情を吸収する前に体力を消耗してしまう。
私には羽は無いが、車がある。
私は少しでもぐっさんの力になるために、足となり、これからもぐっさんとご飯を食べに行こうと思う。
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